「全盛期はまだこれから」 大坂なおみが企業に愛される理由

大坂なおみ 女性アスリートとしての最高年収、その額まさに6000万ドル。男女を通しても12位につけたのは、女性の史上最高位である。彼女を支持するスポンサーは実に20社。社会問題にも発言を繰り返す型破りなアスリートは、なぜかくも企業を引きつけるのか。 全米オープンでセリーナ・ウィリアムズを下し、劇的な優勝を飾って世界のひのき舞台に躍り出てから3年がたつ。23歳になった大坂なおみは、自分以外の誰のルールにも従うつもりがないことを、すでに身をもって示している。 今年の5月末、大坂は自身のメンタルヘルスを守るために、全仏オープンで出席が義務付けられているメディア会見を拒否した。その代価は1万5000ドルの罰金だった。大坂は大会を棄権することにした。 この衝撃的な決断のおよそ9カ月前、彼女は、ジェイコブ・ブレイクが警官に撃たれた事件に抗議してウエスタン&サザン・オープンを棄権する意向を表明した。その後も、人種差別主義者の暴力や警官の非道な扱いの犠牲となった黒人被害者の名前を記したマスクを、全米オープンの期間中ずっと着用し続けた。 アスリートがこのような立場を取ると、企業スポンサーは一目散に逃げだしかねない。だが、大坂の場合はそうはならないようだ。このスター選手は、12カ月間で6000万ドル(そのうち5500万ドルは広告収入)を稼いでいる。しかも、それは昨年、自分自身が打ち立てたばかりの3700万ドルという女性アスリートの収入の最高額を粉砕したうえでのことだ。 この6000万ドルという金額によって、大坂はフォーブスの「世界で最も稼ぐアスリート50人」の12位に入った。これはゴルフのタイガー・ウッズと同位で、ノバク・ジョコビッチやラファエル・ナダルといった男子テニスのスター選手をはるかに上回る順位であり、昨年の29位からすればとんでもない躍進だ。 このたびの騒動の詳細をみておくと、大坂が全仏オープンを辞退するに至った論争が始まったのは、今年5月末のことだ。大坂がSNSで、自らの自信とメンタルヘルスを守るために、大会中の記者会見に出席しない旨を発表したことがきっかけだった。フランステニス連盟は、大坂の最初の記者会見の欠席に対して罰金を科し、大会から追放することも辞さないと脅しをかけた。これを受け、世界ランキング2位の大坂は、大会を棄権することを選び、うつ病と不安を経験してきたことを明かした。 ほとんどのプロのテニス選手の場合、けがや公の場での抗議行動によって、しばらくテレビに登場できなくなれば、実際に収入が減りかねない。スポンサーが一流選手に大金を支払うのは、彼らが主要大会で上位に勝ち残り、自社ロゴの放映時間がたっぷり取れることを見込んでいるからだ。 しかし、大坂はそんじょそこらのプロテニス選手ではない。若く、2つの文化を併せ持ち──母親は日本人で父親はハイチ系アメリカ人だ──社会正義の問題を積極的に訴えるようになる前から、クールな要素とグローバルな魅力を備えていると見なされていた。大坂はスポーツマーケティングの象徴となったのだ。 その結果、大坂の広告契約には、テニス界では大半の契約に見られるような、プレイ時間が限られる場合は契約料を下げるという条項が盛り込まれていない。それどころか、一部のファンがSNS上で大坂を激しく非難している状況にあっても、大手スポンサーの多くは、すでに彼女の擁護に立ち上がっている。 大坂を上回るのは3人だけ ナイキはすかさず声明を出し、「私たちの思いは、なおみと共にあります。当社は彼女を支持するとともに、メンタルヘルスにかかわる自分の経験を打ち明けたその勇気をたたえます」と述べた。リーバイス、日産、日清食品、タグ・ホイヤーなどのブランドも、大坂を支持する同様の声明を出している。サラダ専門店のスイートグリーンやマスターカード、ビーツ・エレクトロニクスはSNS上で大坂の肩をもった。 昨夏の時点ですでに15の広告パートナーと契約していた大坂だが、この1年でその数は20以上に膨れ上がった。グーグルやルイ・ヴィトンも、最近、そのリストに加わっている。 スポンサー契約のラインナップで大坂と並ぶ人物は、スポーツ界にはほとんどいない。この12カ月で大坂を上回る広告収入を稼いだのは、プロテニスのロジャー・フェデラー、プロバスケットボールのレブロン・ジェームズ、そしてタイガー・ウッズだけだ。 この事実が示しているのは、いかに大坂がSNS上で批判されていても、彼女の躍進はまだその“とば口”に立ったにすぎないということだ。「大坂というブランドへの打撃はまったくないでしょうね」と、ベテランのマーケティングコンサルタントで、コロンビア大学の講師でもあるジョー・ファボリートは話す。 大坂は最も売れるスターであり続ける メンタルヘルスの問題は、近年、スポーツ界でより広く関心を集めるようになっており、NBAのケビン・ラブや競泳のマイケル・フェルプスなど、多くのスター選手が個人的体験を打ち明けている。 スポーツマーケティングのコンサルティング会社を営むビル・サットンはこう考えている。大坂はパンデミックによるロックダウンを受けて新たに注目度が高まっているメンタルの問題について包み隠さずに語った。そのことによって、メンタルヘルス分野のスポンサー候補の興味を引く可能性がある。 大坂が社会問題について自分の意見を述べていることについても、同じことが言える。 「ブランドにとって社会問題への意識は、1、2年前までは6番目か7番目に重要なテーマでした。それがいまでは、1番あるいは2番目に重要になっています」と、前出のファボリートは言う。 大坂が東京オリンピックに出るか出ないかにかかわらず、彼女のコート上での活躍と、収益性の高い日本市場における地位があれば──その若さと人柄は言うまでもないが──大坂は今後もスポーツ界で最も売れるスターのひとりであり続けるだろう。 「アスリートとしてもブランド大使としても、大坂の全盛期はまだこれからです」とファボリートは言う。 「彼女が望み通りの心の健康を得て、今回の一件を切り抜けることができれば、それは素晴らしい復活の物語になります。そしてスポーツにおいて、復活劇ほど私たちが好きなものはありません」

【インタビュー】Google、ルメール、ZOZO…ユニクロ柳井社長がパリで語ったこと

パリ中心部、コンコルド広場を臨む歴史的な美術館に、赤いスクエアロゴが掲げられた。ファッションウィークの真っ只中にユニクロの展覧会が行われるためだ。展示品はニットにまつわる物のみ。なぜパリ、なぜニットなのか?会場内の一室でファーストリテイリングおよびユニクロの柳井正 代表取締役会長兼社長にインタビューを行い、欧州事情からIT企業との取り組みまで、ニットを起点に幅広く聞いた。 現地レポート>「未来のニット」とは?ユニクロがパリの美術館で展覧会 ■ユニクロとパリの関係 ーまずはユニクロの軌跡から。パリに進出してからブレイクスルーとなったことは?  やはりオペラ地区の旗艦店出店(2009年)と「+J」というコラボを販売したことですね。それとマレ地区への出店(2014年)も。そして今回のこともそうなるでしょう。アジアのブランドとしてファッションウィークの時期にこういった展覧会をやるというのは、本来すごく勇気のいることですから。 ーなぜこの“パリコレ”の期間中に展覧会を開いたのでしょうか。  やはりパリは世界のファッションの中心。ブランドだけではなくジャーナリストも集まりますから、我々がどういう考え方や想いを持っているか、どういう生産をしているのか、ニットを例にして理解して頂きたい。これが一番大きかったと思います。 ーニットが最も伝えやすいということでしょうか。  まず今が秋冬シーズンですからね。メリノやラムやカシミヤなど、ニットはメイン商材です。それからホールガーメントのような先進的な技術が日本にあるということ。これは未来に向けた技術で、これからの生産は自動編み機のようなもので変わっていく。そういったことを伝えたかったのです。 ー特に島精機製作所との協業で開発した「3Dニット」を打ち出しているようですが、どういった意味があるのでしょう。  今の時代にふさわしい服というのは柔軟な服です。ニットやカットソーとか、着心地が良い服というのは柔軟ですよね。ニットにおいてはホールガーメントは素晴らしい技術で、糸から作っていくので縫い合わせる必要がない。デザインはプログラミングができて、それを生産現場に共有すればサンプルをあまり作る必要もない。デジタル時代に最も通用する技術だと思いますね。 ー展覧会はハイテクというよりも、リアルでハイタッチな内容でした。  ハイテクは手段なんですよ。リアリティがないといけないので、あえてこういう内容にしたんです。この業界の悪い部分でもあるのが、イメージだけでリアリティがないということですね。我々がリアリティを発表したということは、画期的なことなんじゃないかと思っています。 ■ニットを注文生産に? ー島精機製作所との協業の見通しとして「注文生産で工場から個々に届けていくこともできるのではないか」という話が出ていますが、具体的なところは。  将来的にということです。共に取り組んできているので、実験のようなことをお互いに早くやっていきたいと思っているところですね。 ー日本企業のZOZO(元スタートトゥデイ)がゾゾスーツ、それからプライベートブランドの「ZOZO」で、個人に合わせた服を提供するということをやり始めています。そういった取り組みはどのようにご覧になっていますか?  本当の意味で個人に合わせるには、インターネットの中だけでは難しいんじゃないでしょうか。決まった商品ならできるかもしれないですが。素材や風合い、フィット感、シルエットの好みが全部違うでしょうし、コンサルティングのようなことも必要でしょう。採寸だけ、デジタル上だけで全部解決するとは思えないんです。 ーではユニクロで注文生産をやるとしたら?  僕は実店舗も必要だと思いますよ。実店舗とインターネット販売をどうやって結びつけるかということの方が大事なんじゃないかなと思います。 ー新しい購買の方法も出てきています。例えば定期便で届く服を自宅でフィッティングして、合わないものは返品したりとか。  そういった新しい方法が、それこそ資源の無駄遣いじゃないかと思うんですよ。返品なんてとんでもない。3つ注文して自分に合う1つを選んで返品する。これ運賃の無駄遣いですよね。良くないと思う。店に来てもらって自分の気に入った商品を買ってもらう方が、よっぽどエコだと思いますけど。 ■ITに頼ることはない ーECの拡大に伴って、今後の出店数に影響は?  いやどんどん出店していこうと思っていますよ(笑)。やはり服を買うのに店舗が無くなるということはないでしょう。実際に着てみてから、こうしたいと要望が出るわけじゃないですか。 ー店頭客のリアルな声から問題解決していく?  それもそうですし、反対に我々の方からリアルな提案をしないといけない。そこでクリエイターやデザイナーが必要になってきますよね。感覚が半歩から一歩先に行っている人たち。潜在需要を掘り起こすということには、クリエイターが必要なんです。 ーチャットで客の質問に応答する「UNIQLO IQ」ではAIを活用していますね。  AIやIT、そういったものに頼ることはない。あれはインフラですから将来は普通になりますよ。我々はインフラとして使っている。要望されているものは何か、そのためにどういうことに利用するのかの方が大事です。反対にIT業界の人たちはリアルが欲しいと思っていますよね。 ーIT企業になる訳ではない。  手段ですよ、ITっていうのは。目的のない手段というのはありえないので取り違えないようにしないと。今までよりも時間的に早くなるだけであって、ITを使ったら良い商品が瞬時にできるんじゃないか、ということはありえないんです。 ーそういった幻想はありますね。  幻想ですね(笑)。だからもっと、自信をもって仕事をした方がいいと思いますよ。 ■トップクリエイターと共に ーユニクロのデザイン面の考え方は?  まずシンプルな服にこそ、クリエイティブが必要だと思っています。奇抜なデザインがデザインだと思っている人が多いんですが。あらゆる人が楽しめて、クラシックでベーシックでトラディショナルなものと今の流行を良いバランスで作った服が、良いデザインだと思っています。特にニットは色。あと素材感も楽しむというもの。そのためには、やはりヨーロッパのクリエイターたちと一緒に仕事をすることも大事だと思いますね。 ーパリにR&Dセンターを置き、デザインチームを率いるアーティスティックディレクターとしてクリストフ・ルメール氏を起用しています。それによって変わったことは?  彼は感性と論理を両方とも備えたデザイナーだと思いますし、ファッションとファンクションを融合させることが非常に上手な人。そして、少しだけ未来に行ってる服を作るのが上手な人だと思います。我々の服がファッションとファンクションの両方を持った服に変わる、という意味で彼の力は大きい。我々自体も彼によって変わるし、彼も我々によって変わるんじゃないかなと思っています。 ー契約の延長と共にルメールの株式49%を取得しました。なぜ出資したのでしょうか。  僕が彼のことを尊敬している。そして彼もユニクロというブランドに対して尊敬してくれている。お互いに助け合っていこうということだと思います。49%という数字を見てもらったらわかると思いますが、過半数じゃない。彼のブランドの経営は彼にやってもらって、その代わりユニクロのために仕事をして欲しいということです。 ー今後のクリエイターとの展開は?  世界中のトップクリエイターたちと一緒になって、お客様の半歩前に行くことをやっていきたい。人が潜在的に欲しいと思うものを、クリエイターの人たちは知っています。デザイナーのエゴは無しにして、本当に着たいなと思うデザインをいかに早く完成品にしていくか、ということだと思いますね。 Googleに期待すること ー2017年に、ファーストリテイリングは「情報製造小売業」になっていくと発表しましたが、どの程度達成されていますか?  これはもうエンドレスなんで、程度も何もない。課題は山積みですよ。時代のニーズに合わせた働き方に変えること。それからファッション業界というのは流行とシーズンに追われ過ぎですよ。大切なのは作り手として表現する事です。今ほとんどの企業がニーズを汲んでいないと思いますね。ITはそのための手段。いい製品をつくる、いいサービスを提供する。ITよりもそういうことの方が大事。技術のある相手と協業するだけが解決ではないですから。 ー最近だと、新たにGoogleとの提携を発表しています。  彼らは全世界の情報を持っているので、その情報をより早く服にしていく。コミュニケーションの方法も持っているので、お互いの業態でどういう方法が良いのか研究していく。そういう提携です。 ーどういった面で期待していますか?  コミュニケーションのツールですから、全ての情報が全ての人に伝わるようにしていきたい。お客様を中心に、商品を企画する人、生産する人、物流する人、それから売る人もチームになるような。情報という素材を取り入れて、良いバランスでどうやって作っていくか。完成された料理をいかに早く届けていくか。その美味い料理ってのは何なのかということも、最新の情報としてチームに伝わるようにしていきます。 ■欧州最大のライバルは? ーフランスでは今後、さらに店舗を増やしていくのでしょうか。  フランスというよりもヨーロッパに関しては、やはり大都市には全部出たいと思っていますね。チェーン展開というよりも、それぞれの地域で一番喜ばれるお店はどういうものなのかを考えた上で出店していきたい。 ー規模や店舗数は。 … Read more

吉川晃司が間宮祥太朗の主演ドラマ「ACMA:GAME」に出演、心優しき父親役

吉川晃司が、4月7日22:00に日本テレビ系でスタートする新日曜ドラマ「ACMA:GAME アクマゲーム」に出演することが決定した。 「ACMA:GAME アクマゲーム」は原作をメーブ、作画を恵広史が手がけるマンガ「ACMA:GAME」をもとにしたドラマ。地位、財産、名誉、命──対戦相手からすべてを奪うことができるデスゲームに挑む人々の姿が描かれる。主人公・織田照朝を演じるのは間宮祥太朗。さらにキャストとして田中樹(SixTONES)、古川琴音、竜星涼、嵐莉菜、増田昇太(s**t kingz)らが出演する。 吉川が演じるのは照朝の父で日本有数の総合商社・織田グループ会長の織田清司。1本の古びた鍵“悪魔の鍵”を持っていた清司はそのキーを狙う謎の男によって殺害されてしまう。 吉川は愛情深き清司について「『優しい父親』という役柄に最初は少し戸惑いましたが、息子である照朝の幼少時代、少年時代を演じるお2人、妻・麗華役の女優さんに上手に演じていただいて助けられました」とコメント。また、間宮との共演を受けて「間宮君の出演する作品はいくつか観させていただいていたのですが、これまでの作品とはまた違って凄く良いなと思いました。腹が座っていてぶれないんですよ。照朝が息子としてここまで父親に正対してくるのは、想像以上に『よし!』という手応えがありました」と語っている。

世界61位の資産家・キーエンス滝崎武光氏 最大の個性は「目立たぬよう徹する姿勢」

米経済誌『フォーブス』世界長者番付の2022年版において、資産額239億ドル(約2兆9400億円)で61位にランクインしたのが滝崎武光氏(76)である(ファーストリテイリングの柳井正氏が54位、ソフトバンクグループの孫正義氏は74位)。  滝崎氏はセンサーのメーカーであるキーエンスの名誉会長。キーエンスは、1974年に滝崎氏が兵庫県尼崎市に設立した会社で、自動車や精密機器、半導体などの工場で生産工程を自動化するファクトリーオートメーション(FA)にかかわるセンサー類を開発・製造するメーカーである。  過去5年間の社員平均年収は1930万円。業績に連動するため年ごとに差があるが、東証プライム企業のなかでも図抜けて高く、“日本一給料が高い会社”と呼ばれている。  滝崎氏は会社経営に対してストイックな姿勢を示すだけに、本人も目立つことを嫌い、地味に徹している。元『フォーブス日本版』編集長の小野塚秀男氏はいう。 「私が『フォーブス』で取材した当時、すでに滝崎さんは成功した経営者で、取材も『億万長者に話を聞く』というテーマだったのですが、結局、私生活については一切話してもらえなかった。一代で億万長者になった人のなかには自己顕示欲の強い人もいますが、滝崎さんは決してそういうタイプではない。ZOZO創業者の前澤友作さんとは正反対の方ですね(笑)」  滝崎氏もある意味で“異端”なのかもしれない。キーエンスの元営業社員で中小企業診断士の立石茂生氏は、こう話す。 「大富豪のカリスマ経営者のように思われていますが、決して豪快な人ではなく、むしろ“石橋を叩いて渡る”タイプ。基本的には派手なことは好まず、地道で堅実なことを好む人でした。  私が入社した当時、本社は大阪・高槻市にあり、滝崎さんは車で通勤していたのですが、すでに経営者として成功を収めていたにもかかわらず、国産の一般的なセダンに乗っていた。安い車ではないが、高級車というわけでもない。出張で新幹線を使うときも、グリーン車には乗らなかった。いまもそうなのかはわかりませんが、当時はそうでした」 そんな滝崎氏に関する奇妙な記事が、日本経済新聞(3月25日付朝刊)に出た。キーエンス財団に保有している自社株、745万株、時価3900億円相当を寄付したという内容だ。経済ジャーナリストの有森隆氏はこう言う。 「3段見出しの大きな扱いでしたが、日経は前日(3月24日朝刊)にも寄付の件は報じていました。ただし前日に報じた内容が違っていたという訂正が含まれており、それが目立つように配慮した上で改めて正確な内容を報じたのでしょう。前日の記事では保有株を寄付した先を滝崎氏の不動産管理会社としたが、キーエンス財団の誤りだったということでした。  この訂正に滝崎氏のこだわりを見た気がします。  滝崎氏は2016年、この不動産管理会社の株式を長男に贈与したことをめぐって1500億円の申告漏れを指摘されたことがある。寄付先が不動産管理会社だとして変な誤解が広まると困るから、しっかり訂正したかったのではないでしょうか」  キーエンスに聞くと、「個人のことに関しましては、会社としてのコメントは差し控えさせていただきます」(経営情報室)と回答。日経新聞広報室は「同社からのご指摘で誤りが判明したため訂正しました」と答えた。  目立たぬよう徹する姿勢がこの経営者の最大の個性と言えよう。 ※週刊ポスト2022年4月29日号

トヨタ FJ クルーザー: ニッチなアイコン

トヨタ FJ クルーザーは、2006 年から 2014 年まで、オールドスクールな雰囲気と本格的なオフロード能力をワイルドに組み合わせたモデルでした。 愛好家はそのレトロなクールさを賞賛しましたが、驚くべきことに、それは棚から消えませんでした。 これを想像してみてください。ファンキーなテールゲート、屋根で冷えるタイヤ、そして大胆で頑丈な箱型の外観。 そこで止まることなく、ロックバックパーツ、その下の丈夫なシールド、荒れたトレイル用の超強力タイヤなどのクールな追加機能を誇示しました。 伝説の始まり トヨタ FJ クルーザーの存在は、40 年から 1960 年まで君臨した堅牢なオフロードの驚異である伝説の FJ1984 ランド クルーザーのおかげであり、その頑丈な構造と冒険に適した機能で賞賛を集めました。 コンセプトの発表とデザインの旅 2003年、トヨタは北米国際自動車ショーでFJクルーザーコンセプトという爆弾を投下した。 ファンは、クラシックな FJ40 に現代的なオフロード機能をすべて備えたこの現代版に熱狂しました。 トヨタはその誇大広告を見て、そのコンセプトを現実の生産に変えることを決意しました。 カリフォルニアにあるトヨタのカルティ デザイン リサーチ スタジオのチームによって作られた FJ クルーザーは、FJ40 の懐かしさと現代の進歩を融合させたものでした。 ビッグマーケットデビュー 2006 自動車シーンにFJクルーザーが登場しました。 これは、オフロードの先駆者、注目を集めるスタイル、そしてその製品の驚くべき取引により、すぐにヒットしました。 豊富なカラーと特別版 当初はブードゥー ブルーで展示されていた FJ クルーザーは、後にクイックサンド、バルセロナ レッド メタリック、セメント グレーなどのさまざまな色合いに変化しました。 Trail Teams Edition や Urban Warrior Edition などの特別エディションは、より多くのオフロード機能やユニークな美学を備えたさらなる魅力を加えています。 受賞歴と市場での成功 受賞歴とバイヤーからのたくさんの愛が詰まったバッグが、FJ クルーザーの旅を特徴づけました。 2007 … Read more

キーエンス滝沢武光氏 資産3兆円を築いた“高卒経営者”の謎めいた経歴、原点となる学園紛争体験

キーエンス名誉会長・滝崎武光氏の経営の特徴には、徹底した“合理性の追求”が挙げられる 5月31日、フォーブスジャパンが公表した2023年版「日本長者番付」では、最終学歴が“高卒”の人物が上位50人中11人を占めた。1位の柳井正氏(ファーストリテイリング社長、資産額4兆9700億円)が早稲田大卒、3位の孫正義氏(ソフトバンクグループ社長、同2兆9400億円)がカリフォルニア大バークレー校卒など、一流大学出身者もいるが、巨額の個人資産を築いた商売人たちは必ずしも高学歴というわけではないのだ。  ビジネスの勘は大学で学ぶものではないのか。経済ジャーナリストの福田俊之氏が語る。 「このランキングの特徴は、高卒億万長者の多くが戦中戦後の混乱期に生まれた世代であり、彼・彼女らが商売を始めた頃は日本はまだまだ貧しかったが、皆が将来に向けての夢を抱ける時期だった。そうした時代背景も関係していると思われます。  家庭の事情で進学を諦めざるを得なかったり、学生運動で大学を中退する者が少なくなかった。学歴にコンプレックスを抱いていた人も少なくないでしょうが、むしろその弱点を克服し、幾多の挫折を乗り越えて今日の地位を築いたのではないでしょうか」  長者番付の常連である2位のキーエンス名誉会長・滝崎武光氏(78)の資産はソフトバンクグループの孫氏を凌ぐ3兆1700億円。キーエンスは自動車や精密機器、半導体などの工場で生産工程を自動化するファクトリーオートメーション(FA)にかかわるセンサー類を開発・製造し、2023年3月期の売上高9224億円に対して営業利益4989億円。54.1%の営業利益率を誇り、株式の時価総額は17兆円を超す。経済ジャーナリストの有森隆氏が語る。 「講演会に登壇したりメディアに出ることがほとんどないため“謎めいた人物”だといわれる滝崎氏は、兵庫県立尼崎工業高校を卒業後、2度の起業と失敗を経て28歳の時、地元・尼崎で前身となるリード電機を設立し、成功の道を歩み始めます」  滝崎氏の経営の特徴には、徹底した“合理性の追求”が挙げられるという。 「2度の失敗を経て『工場を持たないファブレス経営』『値引きしないコンサルティング営業』『信賞必罰の人事』など、時代を先取りしたような経営戦略を採用し、驚異的な高収益事業を築いていったのでしょう」(有森氏)  滝崎氏の人物像が垣間見えるのは、1991年の『日経ビジネス』でのインタビューだ。高校時代をこう振り返っている。 〈高校時代は学園紛争花盛りで、私も運動を指導する立場だった。しかし結局イデオロギーは好き嫌いの世界だということを痛感し、数字で勝負できる事業家を目指すようになった〉  理念やイデオロギーに左右されずに、数字を追求する滝崎氏の原点は高校時代の体験にあるのかもしれない。 ※週刊ポスト2023年6月30日・7月7日号